奈良県五條市

 奈良県西部。大阪府と和歌山県に接し、北は金剛山、東は吉野連山に囲まれた五條市は、古来より吉野山地への入口として、また、大阪と紀伊を結ぶ交通の要衝として栄えました。

  市内北部、吉野川に沿って走る五條新町通りは、城下町、天領を経て、商家町へと発展しました。ここには、建立年代の判明する民家としては日本最古の「栗山家住宅」をはじめ、江戸および明治時代の建物を中心に、約1kmに渡って商家が軒を連ねており、その景観は重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。

 まちの周辺部では、大和野菜などの豊かな農産物。新町通り沿いの吉野川では、古来の漁法「やま漁」で捕れる鮎。また「柿の葉寿司」もここ五條の名産です。

 自然と歴史が色濃く入り混じった、人情味を感じるまちです。



まちづくりの取組み

  近年、五條新町通りには空き家が目立ちはじめ、住民の高齢化が進み、通りを歩く人の姿が目に見えて減少していました。
 また、この約1kmの通りは、気軽に立ち寄れる喫茶店や休憩場所がほとんどなく、美しい景観をもっていながら、まち歩きをしに訪れる人がほとんど見られませんでした。
 そのような状況を憂い、通りの景観維持や賑わいづくりに取り組んでいた地元有志団体が、行政とともに、空き家を活用したまちづくりに取り組むこととなりました。


 まずは、休暇に遊びに来る関西都市圏の人々や、地元の人々が特別な日に利用できるような、地産地消レストランの整備からスタート。続いて、レストラン利用者などが泊まっていくことのできる、一棟貸しの宿2棟を整えました。
 緩やかではあるものの、これまで見かけなかった層の旅行者が通りを歩く姿が見られるようになったり、新たに個人の出店希望者がでてきたりと、通りの人の流れに変化が見られるようになってきました。

 今なお、この情熱ある地元有志団体によって、まちづくり活動は続いています。

※庵は、この3棟の活用企画(プランニング)、空間デザイン、設計・施工の監修および開業サポートを担当


▮ レストラン 五條 源兵衛

 五條新町通り。JR五条駅から徒歩15分のところにある、築約250年の商家を日本料理のレストランとして整えました。

 食材は、大和野菜を中心とした、地元生産者から直接仕入れる朝採れ野菜の数々。五條の旬をじっくり時間をかけて味わう、贅沢な時間をお楽しみいただけます。


▮ 旅宿 やなせ屋 ―蔵・離れ―

 吉野川と新町通りに挟まれた一画に、隣りあう二棟、「蔵」と「離れ」。

 一棟貸切で泊まれるこの宿は、伝統的な建物の美しさはそのままに、水回りや冷暖房など現代の暮らしに合った快適な設備をととのえています。

 2名定員の「蔵」は、ご夫婦やカップル、お友達同士で静かにゆったりのんびりと。5名定員の「離れ」は、ご家族やグループで、集い語らうのにお勧めです。

 斜め向かいにある「レストラン源兵衛」へお食事に出かけたり、重厚な家々が続く町並みを歩いたり。通りには、造り酒屋や醤油屋、餅屋、酒蔵のバーなど、気軽に立ち寄れるお店もあります。
 観光地ではない五條新町ならではの、地域の人々が普段使いするまちの暮らしをお楽しみいただけます。