長崎県小値賀町

 長崎県、五島列島の北の端。大小17の島々からなる小値賀町は、ほぼ全域が西海国立公園に指定される美しい自然が溢れるまちです。

  町の中心である小値賀島は、海底火山の溶岩が流れてできたなだらかな土地。このあたりの島には珍しく、田畑と遠浅の漁場をもつことができたため、今から25千年前の旧石器時代には、既に人の暮らしがあったといわれています。また、遣唐使の時代には大陸とを行き来する船がこの島に寄港したといいます。

 日本の漁村集落や田園の風景があるかと思えば、大陸の空気を感じる神社があり、松林の緑、翡翠色の海、白い砂浜、赤い砂浜など、小さな島の中に、色とりどりの景色をみることができます。

 温かく人懐っこい人柄も、この島に訪れる人に「また来たい」と思わせる魅力の一つ。

 島の人々や景色、暮らしに触れながら、他では味わうことのない日本を感じることができます。



古民家活用プロジェクト ―小値賀を暮らす大人の旅

  小値賀町では、少子高齢化が進む中、人口が3000人をきり、島の高校の存続を危ぶむ声も聞こえていました。

 高校がなくなるとい うことは、子どもが高校へ入学するのを機に、家族揃って島外へ移住してしまうことが考えられ、このままでは次世代を担う若い世代が島からほとんどいなく なってしまうのではないか。また、町内の中学生の約3割が、小値賀町内での就労を希望しているにも関わらず、ますます雇用の機会は減っていく。
 島の魅力をいかして、若者が住み続けられるよう、働ける場(雇用)をつくらなければならない。

  当時、小値賀町では、民泊や自然体験を中心とした青少年向きの旅行受入を積極的に行い、好評を得ていましたが、それだけでは雇用を増やせないことがみえて いました。そこで、まちの大きな課題であった空き家を活かし、大人の利用者層をターゲットとした観光サービスに、まちぐるみで取り組むことになりまし た。

 日常を忘れ、のんびりと過ごしたい都会の大人の旅行者を利用者イメージとし、その拠点として古民家ステイおよび古民家レストラン整備しました。

 

※庵は、4棟の古民家ステイと1棟の古民家レストランの活用企画(プランニング)、空間デザイン、設計・施工の監修および、ステイ開業サポートを担当


▮ 古民家ステイ(親家・鮑集・日月庵・先小路)

 小値賀島の複数の集落に点在する古民家ステイは、漁師の住宅や銘家の屋敷など、大小さまざま。島でそれぞれの役割を担ってきた古民家を、新たに宿泊滞在施設として快適に過ごせるよう整えました。

 

 小値賀島の北部、柿の浜海水浴場からすぐの集落で、人々から「親家」と慕われていた立派な屋敷。

 漁港近く、かつて鮑の集積場であった場所に佇む「鮑集」と「日月庵」。

 細い路地が入りくむ漁師まちの、小さなおうち「先小路」。


 各棟には、IHキッチンや調理器具、食器類も備え、島で新鮮な魚や野菜を買い込んで調理・食事することも可能です。 一棟まるごと貸切のプライベートな空間で、日常を忘れ、島ならではのゆったりとした時間をお過ごしいただけます。


▮ 古民家レストラン 藤松

 小値賀島の東、前方湾に面する広大な敷地。そこに構える大きな屋敷は、かつて捕鯨や酒造りなどで繁栄した島屈指の商家「藤松家」。

 築160年を越えてなお、風格ある佇まいを残すこの屋敷を、島の豊かな食の恵みをいただけるレストランとして整えました。

 美しい佇まいを残す座敷席や、野性的な庭の景色をとり込んだ個室、7mの一枚板を配した掘りごたつ式のテーブル席、緑鮮やかな木々が揺れる広大なテラスなど、この屋敷ならではのダイナミックな空間と豊かな表情を感じることができます。

 お料理には、近海で捕れる新鮮な海の幸や、島特有の赤土で育まれた採れたての野菜。これら島の恵みを盛り付ける器には、「藤松家」でかつて使われていた漆器や陶器も使用しています。

 かつてここにあった歴史や風格を感じ思いをはせながら、今ここにある新鮮な旬の食をいただく。島での上質なひとときをお楽しみください。